株式会社コミュニティネット

まち、住まい、ひと。住むひとの目線で、暮らしをトータルサポート。

私たちコミュニティネットのこと

社長あいさつ

代表取締役社長 高橋英與

私たちは今、とても厳しい時代の入り口にいます。生活のあり方そのものを変えないと、日本は立ちいかなくなる。そのことを、2011年3月11日に起きた東日本大震災と福島第一原発の事故によって思い知らされました。
私たちのなかにある高度経済成長時代のイメージを捨て、自給自足的な生活にシフトすること、環境を大切にすること、年を重ねても社会参加ができるようにすること、そしてお互いに支え合うことなどが求められています。

代表取締役社長 高橋英與

コミュニティネットの事業のひとつは、高齢者向け住宅の開発と入居相談・運営です。しかし、高齢者向けに事業を限定しているわけではありません。また、高齢者の多くは高齢者だけで住みたいとは思っていません。子どもから大人まで、多世代が交流する暮らしを望んでいます。

ですから、高齢者向け住宅をひとつの「入り口」としながら、医療や介護のセーフティネットのある暮らしや、多世代が交流するコミュニティづくりを通し、日本が直面する問題をひとつひとつ解決していきたい。そう、考えているのです。

私たちは、地域で夢や希望をつくりあげていくプロデューサーです。地域プロデューサーは、「こうしたい」というイメージに向けてさまざまな人に会って話を聞き、あるときは行政と交渉し、資金を調達します。個々の力を掛け合わせ、そのトータルのエネルギーが一定の量を超えたとき、コミュニティは動き始めるのです。

なぜコミュニティなのか〜私の履歴書

 高齢者向け住宅という既成概念の枠にとらわれない「住まい手参加型」コミュニティづくりのルーツは、私が生まれ育った東北の長屋的な生活にあります。そこでは風邪をひけば近所の人がみかんをもってきてくれたり、いたずらをすれば隣のおばあちゃんに叱られたりするのが普通の暮らしでした。大学で建築を専攻した私の恩師は「建築とは人間学だ」と言いました。図面を引くだけではなく、人々がどのように毎日の生活を過ごしているのか。家族やコミュニティのあり方を含めて考えていかなければならないのだから、哲学や歴史学、社会学など総合的に勉強しなさいというのです。
 大学卒業後、名古屋の設計事務所勤務を経て、独立したのは28才のときです。私はコーポラティブハウスの設計を始めました。建売住宅や分譲マンションが先に箱物を造って、その空間に人の生活を合わせていくのに対して、コーポラティブハウスはそこに住む人たちが集まって、彼ら、彼女らの要望を聞き、そのニーズに合わせて建物をつくる、いわば「注文型マンション」です。前者は同じものをたくさんつくって売りますが、後者は入居者の生活観や家族構成が反映され、どういう風に暮らしたいかなどについて、入居者同士が、あるいは入居者と事業者がコミュニケーションを重ねていきます。ですから建物が完成するころには人間関係ができあがっているのです。
 私たちが事業主体として入居者を組織する現在の方法は、コーポラティブハウスを設計していたころに身につけたのですが、そこで学んだのは「効率」と「コミュニティ」は時に相容れないということでした。コミュニティづくりには手間暇がかかります。人間関係をつくるのは難しいし、ときに煩わしい。でも、そういうことを通してコミュニティはできていくのです。日本の戦後は効率性を追い求めた時代でした。それは個人や社会、経済に元気があるときはいいのですが、高度経済成長が終わると、これまで効率一辺倒だったことの歪みが出てきます。それがもっとも顕著に現れるのは高齢者などの社会的弱者です。この問題を、コミュニティづくりを通して解決していきたい。建物というハードではなく、生活を見直し、社会的弱者が生き生きと暮らせるような仕組み=ソフトをつくりたい。そうした思いを強くした私は、1983年に任意団体・生活科学研究所を設立しました。

入居者の満足、スタッフの満足、そして経営の安定

 そこで始めたのが、廃校を借り夏休みや週末を利用して子どもたちや親と泊り込み、近所の農家で田植えや稲刈りを手伝わせてもらったり、むかしの遊びを教えてもらったりする「3世代キャンプ」です。それを機に子どもたちの母親が抱える問題――子育てが終わった後の再就職や親の介護についても取り組むようになりました。
 私は自分から「これをこうしよう」と提案することはあまりありません。相手の話をじっくり聞き、一緒になって考えていくなかで、自然に周りが動き始めるのです。これを事業化すべく1987年に株式会社化して生活科学運営へと改組し、高齢者住宅や有料老人ホームづくりに本格的に携わり、「シニアハウス」の運営を始めました。2005年に経営を若手にゆだね、自身は2006年に(株)コミュニティネットを設立し、現職に至っています。
 「シニア」とは「ジュニア」の反対で「熟練した」という意味です。当時、高齢者へのアンケート調査を行ったところ、将来、老人ホームに入りたいという人は全体の10%にも達しませんでした。ほとんどの人が住み慣れた自宅で生活したいと思っていることがわかったのです。とはいえ核家族ではそれが難しいし、地域で支え合うには人間関係が希薄となり、行政もなかなか対応できない。そこで最初につくったシニアハウスを地域開放型にして、施設の食堂もデイサービスも地元の方々が利用できるようにしました。
 当社のスタッフは地域に住み込みを基本とします。生活を共有することで入居者のニーズを把握できるからです。たとえば1人の人間だって朝と夜では違うし、元気のいい日もあれば、ない日もある。口に出さなくても表情を見れば、その人が喜んでいるのか、悲しんでいるか、あるいは不安があるのかがわかるでしょう。それにきちんと対応して入居者の満足度を高めようと考えました。
 そのためにはスタッフが生き生きと働ける環境でなければなりません。スタッフが不満を抱えていると、入居者にマイナスの影響を与えてしまいます。ですから当社が重視するのは第1に入居者の満足、第2にスタッフの満足、第3に経営の安定。もし経営の安定を1番に置くと、効率化を求めて生活やコミュニティに目が向かなくなるからです。ただ同時に私たちは決算書などの経営情報を公開しています。入居者の理解と信頼を得ることが、最終的には運営の質の向上と経営の安定につながると考えるからです。

営業で大切なのは話すことではなく耳を傾けること

 私は事業を展開するに当たって「3案方式」という、①うまくいく、②まあまあ、③うまくいかないの3つのシナリオを想定しています。私がスタッフに仕事を委ねられるのは「うまくいかない」という案をつくっているからです。仕事の業務は教えますが、手取り足取りの指導はしない。自分が模索しながらやってみて、わからないことや課題に直面した時に質問すれば、その答えが自分のなかに沁み込んでくる。私はスタッフに「失敗する権利」と「失敗しても責任をとらなくてもいい権利」を与えています。敗者復活戦も用意しているので積極的に働けるのです。
 当社の入居相談は、商品を売り込むため一方的にこちらから話すようなことはしません。相手の話にじっくり耳を傾け、その内容に合った住まいやサービスを提供すること心がけています。スタッフは、一緒に悩みながら考えてあげられる人か、入居希望者にまた会いたいと思わせる人か、信頼に足る知識をもっている人かなどが問われます。
 当社で重要なのはダメ社長をつくること(笑)。社長が優れていたら、「この社長についていけば大丈夫だろう」と、入居者が依存型になってしまうからです。事業を始めた頃、私が一生懸命先回りをしてサービスをしていたら、ある入居者の方に「私たちを神棚に飾るつもりか」と叱られました。敬老とはお年寄りのお世話をすることだと私は思っていたのです。でも高齢者の方にとって、一方的にサービスを受ければ満足かといえば、そうではない。高齢者は誰かに何かをしてもらうだけではなく、誰かのために何かをしてあげたいとも考えている。人の役に立っていることに幸せを感じることがあるのです。それを機に「私に任せてくれれば大丈夫」と胸を張る強気の社長から、「自分の弱さをさらけ出す社長」に変わりました。私が弱くなればなるほど、スタッフや入居者が強くなるからです(笑)。
 私たちは地域で夢や希望をつくりあげていくプロデューサーだと思っています。地域プロデューサーは、自分たちがこうしたいというイメージに向けて入居者や行政と交渉し資金を調達する、いわば入居者、事業者、行政など個々の力を掛け合わせる役目を担います。そして、そのトータルのエネルギーが一定の量を超えたとき、コミュニティは動き始めるのです。

介護保険に頼らない経営が目指すもの

 介護保険自体はとてもいい制度ですが、売上と利益を最優先する企業は介護保険の収入を当てにしがちです。売上のほとんどが介護保険からの収入になれば、経営のリスクは非常に大きくなります。また、介護保険に頼ると、寝たきりや認知症の高齢者など要介護度の高い人にばかり目がいく。でも、大切なのは「そうなったときにどうするか」だけでなく、「そうならないためにはどうするか」。元気な時にみんなで集まって支え合い、生きがいを見つける。それがひいては認知症や寝たきりの予防となり、結果として介護保険を支える役割を果たすのです。
 ケアの概念を変えるべきだと私は思います。子ども、若者、中高年、高齢者と誰にでもケアは必要なのです。それは身体的あるいは精神面のサポートであったり、子育てや就労の支援であったり、さまざま。しかも高齢者の多くは高齢者だけで住みたいと思っていないのですから、多世代が住むコミュニティを目指せばいい。
 私たちの事業は高齢者向けに限定しているわけではありません。日本が直面している問題を解決するためにコミュニティづくりをしているのです。たとえば商店街の活性化をめざすにはどうすればいいか?年金生活者が増えて、人口が減っているなか、売上は伸びないのだから、まずは経費をかけないことを考える。経費を抑えるにはどうしたらいいか? 商店の経営を高齢者に任せる。人件費が節約でき、売り上げが伸びなくても商売は成り立つし、高齢者は元気になる。商品の価格も下がるから、お客さんが以前よりも集まるかもしれません。
 私たちは、コミュニティネットのモデルに賛同してくれる企業や個人の事業体が全国1000カ所で活動を行ってもらうことを目指しています。そうすれば高齢化や過疎化、あるいは原子力発電所を巡る問題を社会全体で解決することができると考えているのです。
 いま私たちの生活のあり方を変えないと、日本は立ち行かなくなります。そのことを私たちは東日本大震災で思い知らされました。私たちのなかに拭い難くある高度経済成長時代のイメージを捨て、自給自足的な生活にシフトする、環境を大切にする、歳をとっても仕事ができるようにする、そしてお互いに支え合う――私は明治維新に匹敵する大きな時代の変化が遠くない将来にやってくると思っています。

2012.10.2

株式会社コミュニティネット

代表取締役 高橋英興

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